13 マクスウェルの方程式と電磁波
f-denshi.com  [目次へ] 最終更新日: 04/07/27

1.マクスウェル方程式

[1] これまでにでてきた電磁気学の次の4つの基本法則をマクスウェルの方程式といいます。

マクスウェルの方程式
(1) divD =ρ D =ρ 電荷のガウスの法則 [#]
(2) rotE =− B
∂t
∇×E =− B
∂t
ファラデーの法則 [#]
(3) divB =0 B =0 磁荷のガウスの法則  [#]
(4) rotH = D i
∂t
∇×H = D i
∂t
アンペールの法則 [#]

電磁気学のすべての古典的な問題はこの4つの微分方程式に境界条件を課すことで原則的には解くことができるのです。

[2] もっとも簡単な場合として,物質の存在しない真空中では,

ρ=0,  i = 0
D = ε0E
B = μ0H

なので,H を消去して,

(1)’ div E = 0
(2)  rot E  B  = 0
∂t
(3) div B = 0
(4)’ rot B −ε0μ0 E  = 0
∂t

[3] (2)の回転をとって,(4)’を代入して,(ベクトル解析の公式,rot・rot [#] を用います。)

rot (rotE ) + ∂rotB  = ( grad (divE )−ΔE  ) +ε0μ0 2E
∂t ∂t2
              ↓  (1)’ div E = 0
=−ΔE +ε0μ0 2E  = 0  
∂t2

また,(4)’の回転をとって,(2) を用いて,

rot (rot B ) −ε0μ0 ∂rotE  = grad (div B )−ΔB +ε0 2B
∂t ∂t2
              ↓  (2) div B = 0
=−ΔB+ε0μ0 2B  = 0
∂t2

すなわち,マクスウェル方程式から電場,磁束密度が波動方程式 [#] を満たしていることがわかりました。最後の式で,B = μ0H として,μ0 で割れば,

ΔH+ε0μ0 2H  = 0
∂t2

を得ることもできます。D についても同様であって,結局,同形の次の4つの波動方程式に還元されます。

真空中の電磁波の方程式
ΔE = 2E
c2∂t2
ΔH = 2H
c2∂t2
または,
ΔD = 2D
c2∂t2
ΔB = 2B
c2∂t2
,ただし,c =
1
ε0μ0

つまり,真空中に電界・磁界が存在するならば,それはこの2階微分方程式に従って振動,伝播するような電界,磁界の波動なければならず,それを電磁波と呼びます。

波動のごく基本的な性質と真空中,および誘電体中を伝わる電磁波については Appdix B1 に,また,導電体中を伝わる電磁波については,Appendix B2 にまとめましたのでそちらを読んでください。

2.電場に蓄えられているエネルギー

 電気変位の説明[#]の際に利用したコンデンサーとかキャパシターと呼ばれるデバイスは,電池と同じように電気を蓄えたり放出したりする能力をもっています。その充電過程では,電源から電極端子に電流を流し,正負の電荷を相対する電極板に蓄えます。次に電極端子を負荷につなぎ換え,放電を行えば電流を取り出され,様々な仕事に利用することができます。これらの過程は電気エネルギーの貯蔵と放出とみなすことができます。

 キャパシターの充電によって蓄えられるエネルギーは,何もない無い状態から等量の正負の電荷を対向電極に運んで最終的な電荷分布を形成するために必要なエネルギーに等しいと考えることができます。このような考え方は,任意の形状の電荷分布が形成される場合にも適用することができるはずです。そこで次に,正負が対とはなっていない,正電荷だけが真空中のごく狭い範囲に孤立して存在する場合について考えてみましょう。

[1] 何も無いところへ無限遠から小さな正電荷を寄せ集めてきて,最終的に電荷分布 ρ(r )を形成することを考えます。ただし,その途中で現れる電荷分布も常に最終的な電荷分布に比例するように変化させてゆくこととします。すなわち,

0  ⇒ λρ(r ) ⇒ ρ(r )  ( λ: 0 ≦ λ ≦ 1 )

と電荷を空間に分布させていく様子を考えます。(点とみなせるような電荷分布の場合は右図のようになります。) 

 最終的な電位関数をφ(r)とすれば,電荷分布がλρ(r )のときの電位関数は,λφ(r )で表せます。ここからさらにdλρ(r )だけ電荷密度を増加させるために必要な電荷量は,

dQ= dλρ(r )dV

また,これだけ電荷を増加させるために必要なエネルギー dW は,

dW =  (λφ)(dλρ(r )dV) = λdλ φ(r )ρ(r )dV

となります。積分は全空間に渡って行ないます。 したがって,電荷分布ρ(r )を形成するために必要なエネルギーはこの式を λ=0 から 1 まで積分すればよく,

W = λdλ φ(r )ρ(r )dV = 1 φ(r )ρ(r )dV = 1 φ(rdiv D dV
2 2
1 φ(r ∂Dx +φ(r ∂Dy +φ(r ∂Dz dV
2 ∂x ∂y ∂z

第一項を x について部分積分すれば,

1 φ(r ∂Dx  dV = 1 [φDx  − ∂φ Dxdx dydz
2 ∂x 2 ∂x
1 ExDxdV  ;     ここで,Ex ∂φ  は電場の x 成分
2 ∂x

第2,3項も同様で,結局,電界に蓄えられるエネルギー は ED の内積の積分で,

W = 1  ED dV      [ 電界に蓄えられるエネルギー ]
2

エネルギー密度は

w= 1  ED      [ 電界に蓄えられているエネルギー密度 ]
2

3.電磁波の運動量とエネルギー

[1] 磁界に蓄えられるエネルギーについても電荷密度と磁荷密度とを対応させながら同様に考えて,(多分この説明にはクレームがつくと思いますが,とりあえず,間に合わせ的にということで)

1  HB      [ 磁界に蓄えられているエネルギー密度 ]
2

電界,磁界に蓄えられるエネルギーは,

W = 1  { ED  +HB }dV      [ 電界+磁界に蓄えられるエネルギー ]
2

[3] 真空や均一な媒体(空気,水など)の中のように,電場と電気変位の関係,磁場と磁束密度との関係が比例関係,

E ∝ D,H ∝ B      ← もっとはっきりと書けば,D = εE, B = μH

で十分近似できるときは,体積 V 内にある電磁場エネルギーの時間変化は,

dW { E D  +H B   }dV
dt ∂t ∂t
↓ 実在電荷,実在電流のない時のマクスウェルの方程式 [#] , 
  { E ・( rot H )+H ・(−rot E )} dV
↓ ベクトル解析の公式 2-(2) [#]
  div(H × E  ) dV
↓ガウスの定理 [#]
  (H × E  )n dS

これは単位時間に単位面積を通過して出ていくエネルギーが,

P ≡ (E × H  )   

で与えられることを意味しています。これをポインティングベクトルと言います。

      中断,・・・・・・・・

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