| 12 電磁誘導:ファラデーの法則とフレミング右手の法則 | ||
| f-denshi.com [目次へ] 最終更新日:03/05/19 | ||
これまでは運動する電荷(=電流)と静止した磁荷との(磁場を介しての)相互作用についてについて考えてきましたが,運動の相対性からそこに働く力は運動する磁荷と静止した電荷との(電場を介しての)相互作用とみなすことが可能です。
すなわち,磁荷の運動によって電場が発生し,その結果,電流が流れるという法則(=ファラデーの電磁誘導の法則)が予言可能なのです。
ある時刻において,右下図のような位置・速度関係(r とv が直交している)にある電荷 Q と磁化 Qm を次のような2つの座標系で考察します。
[1] 一つは座標系ΣMで,磁荷が原点に静止しており,電荷が速度(-v )で z 方向(上方)へ動いてるように各粒子が観測されます。(ワケがあって速度を(-v )としています。あしからず。)このとき,運動する電荷 Q が作る磁場,
HQ = Q(-v)×r =−v ×ε0EQ 4πr3
に [#] よって原点にある磁荷 Qm が受ける力をf とすると,
f =QmHQ = ε0QmQ(-v ) ×r =(-v ) ×Qmε0EQ 4πε0r3
ただし,
EQ= Qr 4πε0r3
[2] 当然,この力の反作用として電荷 Q には力F (=- f ) が働き,
F = −μ0QmQ(-v )×r = Q(-v )×μ0HM 4πμ0r3
(↑分母分子にε0,μ0をかけているのはただの数学的技巧)
と表せます。ただし,
HM= −Qmr 4πμ0r3
と置きました。
[3] 次に同じ現象を電荷が原点に静止しており,磁化が下方へ速度v で動いているように見える座標系ΣQで観測します。この座標系では,
「磁荷Qmの運動によって,静止している電荷Qに働く力F が誘起される。」
ように見えます。すなわち,”磁化の運動によって電場E が発生する”という法則が必然的に導かれます。これを電磁誘導の法則といいます。F の値は先の座標系で求めたものと当然おなじですが,今,考えてる座標系ΣQでは磁荷の速度の符号を換えて,
F = QQmv ×r 4πr3
と表せます。 これとクーロンの法則,F =QE と比較すると,
E = Qmv ×r ( =−v ×μ0HM ) :v は磁荷の速度 4πr3
なる電場が座標系ΣQの原点に発生しているとみなせることがわかります。つまり,電荷が静止して見える座標系ΣQでは,
「磁荷が運動することで周りに電場が誘起される。」
という法則を主張できるのです。
[4] さて,磁荷の運動によって電場が生じるならば,運動する磁荷のそばに導体でできた回路が存在すると電流が流れる可能性があります。ここではループ状に閉じた回路にどのような電流が流れるのか考察しましょう。可能性といったのは,電場が存在するからといって無条件にループ電流が流れるわけではないからです。回路の各位置にできる電場の回路に沿った方向の成分が回路全体でキャンセルし合い,電流がゼロとなることもあるからです。
真偽の程は具体的に円形の導電回路 C に沿った次のような電場の線積分を計算して見る必要があります。もし回路に電流が流れるならば,この積分値は回路の方向に沿って電流を流す起電力
Vf になります。
いま求めた磁荷の運動によってできる電場E を用いて,
線積分: Vf = E ・ds = Qm(v ×r )・ds [=起電力] 4πr3
ここで,回路のループにそった微分線要素を ds,回路の一点から磁荷 Qm を指す位置ベクトルを r,磁荷 Qm の移動速度を v = du/dt として,回路の向き C (面ベクトルS )を Qmの作る磁場 HM の方向と同じ(HM・S ≧ 0 )にとっています。(右図)
v → du/dt の置き換えとスカラー3重積の公式[#]を用いて,
E ・ds = Qm(r ×ds )・v 4πr3
= 1 du ・ Qm(r ×ds) dt 4πr3
↓ 立体角dΩの定義 [#] を用いて,(ここからの理解には立体角の知識が必要です)
E ・ds =−(Qm/4π) dΩ = − dΨm [ファラデーの電磁誘導の法則] dt dt
ここで,Ψmは回路を貫く磁束で,
dΨm= QmdΩ =B ・dS 4π
なる関係があることは前章で述べました[#]。
[5] 今,導いた[ファラデーの電磁誘導の法則]の意味するところは,
dΩ/dt>0 (dΨm>0)ならば, (=回路を貫く磁場が増えると,)
⇒ E の回路C上の線積分<0
⇒ 回路Cと逆方向電場(起電力)が発生
⇒ 回路Cと逆方向に電流が流れる
⇒ この回路CにはHMと逆方向に磁場が発生する
(↑回路を貫く磁場を減じるような現象が生じる)
となります。dΩ/dt<0のときはこれと全く逆の現象が起こります。この2つをまとめて,
| 導体でできた閉回路に貫く磁場が変化したときには, 「磁場の変化を打ち消すような方向に磁場を生じるような電流が閉回路に流れる。」 |
ということができます。
| [6] 一方,電場の線積分にストークスの定理 [#],および,磁束についてのΨm = |
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E ・ds = rotE ・dS
= − ∂ B・dS ∂t
とファラデーの法則を書き改めることができます。面積分の中身を比較して,ファラデーの法則の微分形,
rot E = − ∂B ∂t
が得られます。(時間微分と空間積分の順jを入れ換えて,時間に関する微分は偏微分記号を用いました。)
[7] 以上,まとめると,
| ファラデー(-レンツ)の電磁誘導の法則 閉回路を貫く磁場が変化した時には,閉回路に起電力 Vf が発生し,電流が流れる。そのときの起電力は, および, [微分形] 磁束密度の変化によって閉回路に生じる電場E は次式で与えられる,
[他の表現] |
これに関連した自己誘導,相互誘導については,⇒ Appendix [#]
[1] 1節で ファラデーの法則 を導く際に,「 静止している磁荷に対して速度-v で運動する電荷 Q には,”磁荷が運動電荷 Q が作り出した磁場から受ける力の反作用 として”,力 :
F = −μ0QmQ(-v )×r = Q(-v )×μ0HM 4πμ0r3
が働くとみなしました [#] が,これを積極的に法則として述べたものがフレミングの右手の法則です。ただし,ここでは電荷が
”主役” なので,電荷の速度(-v )を v と正のベクトルに改めて記述しましょう。すると,
F =Q ・v ×μ0HM=Q ・E
ただし,
E =v ×μ0HM=v ×B
となります。これは静磁場の中を速度V で運動する電荷 Q には
「 誘起電場 : E (中指)=V (親指)×B (人差し指) が作用する。」
述べることができます。これらE,B,V の右図に示すような方向関係をフレミングの右手の法則と言います。
[2] さて,電荷の代わりに静磁場 ( 磁束密度B) の中におかれた右図のような電気回路を考えます。ここで回路の一部分CD (長さL
) はAE,およびBF上をすべって,y 軸正方向へ速度V で移動するものとします。回路片CD の運動によってこの部分に存在している自由電子には発生した誘起電場から力が働き,その結果,電流が矢印方向に流れることになります。
(もちろん電子の流れる方向と電流の方向は逆向き)
このときの電流の方向は当然,フレミングの右手の法則から予見できる方向です。
| フレミングの右手の法則 磁束密度B の磁場に対して回路を速度v で動かすと回路には起電力が発生する。起電力の方向はフレミングの右手の法則に従い,その大きさは, |v ×B | である。 |
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