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14-1 ベクトルポテンシャルとスカラーポテンシャル |
| f-denshi.com [目次へ] 最終更新日:09/06/10 (仮) |
1.ベクトルポテンシャルとスカラーポテンシャル
[1] ベクトルポテンシャルの存在
ベクトル解析によると任意のベクトルA に対して,div・rotA=0 [#] なので,磁束密度B を適当なベクトルA を用いて,B=rotA と表せば,マクスウェルの方程式のひとつ,divB =0 はこのA を用いる限りにおいては自動的に満たされることがわかります。このA をベクトルポテンシャルといいいます。
定義 [ベクトルポテンシャル]
B = rot A を満足するベクトル A (t,r ) ・・・・・・・・ (1) |
ただし,A は一意的ではなく,任意のスカラー関数χを用いた,
A’ = A + grad χ
もベクトルポテンシャルとなります。なぜなら,
rot A’ = rot (A +grad χ)
= rot A + rot (grad χ )
= rot A (rot・grad χはいつも 0 ⇒ ベクトル解析公式 [#] )
=B
と同じB を与えるからです。ベクトルポテンシャルには,grad χ だけの自由度があるということができます。
[2] スカラーポテンシャル の存在
ベクトルポテンシャル ( B = rot A ) を用いると,ファラデーの法則 [#] は,
| rot E + |
∂B |
= 0 ⇔ rot |
 |
|
 |
= 0 |
|
| ∂t |
となります。すると,ベクトル解析の定理 [#] より,(←ストークスの定理の系)
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E + |
∂A |
 |
= grad (-φ) なるスカラー関数 -φ が存在する。 |
|
| ∂t |
ことがわかります。そこでこのφをスカラーポテンシャルと呼び,次のように定義します。
定義 [スカラーポテンシャル]
| E =−gradφ− |
∂A |
を満足する φ (t,r ) ・・・・・・・ (2) |
|
| ∂t |
|
さらに,ベクトルポテンシャルの自由度を利用して,変換 A’ = A + gradχ を考えると,
| = −grad φ− |
∂ |
(A’+grad χ) |
| ∂t |
| = −grad (φ− |
∂χ |
)− |
∂A’ |
| ∂t |
∂t |
と計算を進めることができます。ここで,最後の grad の中身をφ’ とおきました。これから次のようにまとめられます。
[ゲージ変換]
任意のスカラー関数をχ(t,r)とするとき,
A’ = A + grad χ
を満足する A’,φ’は,A,φと同一のB,E を与えることができる。 |
ある電場,磁場を記述するに十分なA,φ の組を電磁ポテンシャルといい,また,B,E を変えないようにA,φ の組を選び直すことことをゲージ変換(可換ゲージ変換)といいます。また,あるゲージ変換によって ”形” を変化させない物理量,方程式などをその変換に対してゲージ不変であるというように言います。
[3] マクスウェルの方程式(4つ組)は,ベクトルポテンシャルとスカラーポテンシャルを用いて,次のように書き直おすことができます。
| (1) divD = ρ |
⇔ |
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| (3) divB = 0 |
(3) B = rot A |
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| (4) ΔA −εμ |
∂2 A |
−grad |
 |
εμ |
∂φ |
+ divA |
 |
= −μj |
|
|
| ∂t2 |
∂t |
|
ここで,A,φがその定義から自動的に(2),(3)を満たしていることに注意すると,電磁ポテンシャルを用いたマクスウェルの方程式は,実質的に(1)と(4)と2式で与えられると考えることができます。
(導出は演習問題),ヒント:(4)→(4)で,rot・rot=grad・div-Δ を用いよ。
2.ベクトルポテンシャルを使ってみる
[1] ビオ-サバールの法則 (積分形)[#] ,
| B = |
μ0 |
 |
j
(s)×(r−s) |
d3s |
|
|
| 4π |
|r−s|3 |
をベクトルポテンシャルを用いて書き直します。
| ∇がr に作用することに注意し,定ベクトルaについてのベクトル解析の公式 (9) ∇× |
a |
= a× |
r |
を用いると[#], |
|
|
| r |
r3 |
| B= |
μ0 |
 |
∇×j (s) |
d3s = ∇× |
μ0 |
 |
j (s) |
d3s |
|
|
|
|
| 4π |
|r−s| |
4π |
|r−s| |
と変形されます。これをベクトルポテンシャルの定義 B=∇×A と比較すれば,
| A ≡ |
μ0 |
 |
j (s) |
d3s |
|
|
| 4π |
|r−s| |
|
とすればよいことがわかります。これは,「ベクトルポテンシャルを用いたビオサバールの法則」[#] ということができます。このようにAを定めておけば,BはこのAの回転を取ればただちに得ることができます。
[2] 以上の結果を電場と静電ポテンシャルとの関係と比較してみると次のようになります。
| 電場 |
磁場 |
| E = |
1 |
 |
ρ(s)(r−s) |
d3s |
|
|
| 4πε0 |
|r −s|
3 |
|
| B = |
μ0 |
 |
j
(s)×(r−s) |
d3s |
|
|
| 4π |
|r−s|3 |
|
| φ= |
1 |
 |
ρ(s) |
d3s |
|
|
| 4πε0 |
|r
−s| |
|
| A = |
μ0 |
 |
j (s) |
d3s |
|
|
| 4π |
|r−s| |
|
| E =−gradφ |
B =rotA |
|
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|
この表を見ると,ベクトルポテンシャルで考える場合はE-B対応として定義されていることがわかります。ただし,これはベクトルポテンシャルをB=rotA と定義したからで,H=rotA によってAを定義することを排除する本質的な理由があるわけではありません。(つまり,習慣の問題)
取りあえずここまで。
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磁場を用いたビオサバールの法則,
| H = |
1 |
 |
j
(s)×(r−s) |
d3s |
|
|
| 4π |
|r−s|3 |