| 5 電気双極子と電気四重極子 | ||
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ここでは数個のプラス-マイナス等しい数の電荷が作る電場や相互作用について考えます。身の回りの多くの物質は見かけ上電気的に中性であっても,分子レベルでは電荷の偏り(永久双極子モーメント)が存在し,これが液体の粘性や固体の強度のような集合体としての特徴を作り出しています。例えば水分子は全体として中性ですが,水素に較べて酸素原子上に電子が偏在しており,水素原子はプラス,酸素原子はマイナスに電荷を帯びています。その結果,水は分子量の割に粘性が高い,沸点が高いなどの性質を持っているのです。一方,不活性ガスのアルゴン原子のように球称性を持っている原子分子は永久双極子モーメントをもっていませんが,そのような分子でも電場の中に置かれると,電子と原子核はそれぞれ反対方向に力を受け,分極(誘起双極子モーメント)が生じます。このように電気双極子は物質の性質を決めるもっとも重要な因子のひとつです。
[1] 右図のように ”極く近い距離にある等しい正負の電荷の対” を電気双極子といいます。 (原点に -Q の電荷,z軸方向 d の位置に +Q の電荷)
電気双極子が位置Pに作る静電ポテンシャル φ は重ね合わせの原理から各電荷のポテンシャルの和として,
4πε0φ= -Q + Q |r| |r −d|
≒ -Q + Q + Qr ・d | r| |r| |r|3
= Q(r ・d ) |r|3
とテーラー展開できます[#] 。ここで,電機双極子モーメントを,ベクトル p = Qd と定義すると,
φ ≒ r ・p = p cosθ 4πε0|r|3 4πε0 r 2
ただし,p =|p |,r =|r |
[2] 電場 E はこの勾配 [#] から,
E (r ) ≒ −∇ φ = − (r ・p) ∇ 1 − ∇(r ・p ) 4πε0 r 3 4πε0 r 3
= 1 3(r ・p)r −p 4πε0 r 3 r 2
極座標表示では [#],
Er = − ∂φ = 2p cosθ ∂r 4πε0 r 3
Eθ =− ∂φ = p sinθ r∂θ 4πε0 r 3
となります。
[1] 一様とみなせる電場 Eの中に置かれた電気双極子 p が受ける力 F は偶力(大きさが等しく一つの直線上にない反対方向を向く力)で,力のモーメントN は,
N = r×-F + ( r + d )× F
= d × F
= d × QE
= p × E
となります。
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[1] 2つの同種の双極子モーメント間の静電相互作用によるエネルギー U を計算します。
d1 = ( d1x,d1y,d1z ),d2 = ( d2x,d2y,d2z ),r = ( x,y,z )
p1 = Qd1 , p2 = Qd2
として,
4πε0U = Q2 1 − 1 − 1 + 1 |r| |r −d1| |r +d2| |r +d2−d1|
≒ Q2 − r・d1 + (r +d2)・d1 r|r|3 |r +d2|3
= Q2 − r ・d1 + 1 − (r ・d2) 3 (r +d2)・r1 r|r|3 |r| |r|3
= Q2 − r ・d1 + 1 − 3(r ・d2) + 3(r ・d2)2 − (r ・d2)3 (r +d2)・r1 |r|3 |r|3 |r|5 |r|7 |r|9
= Q2 d1・d2 − 3(r ・d2)(r +d2)・r1 + 3(r ・d2)2 + (r ・d2)3 (r +d2)・r1 r|r|3 |r|5 |r|7 |r|9
= Q2 d1・d2 − 3(r ・d2)(r ・d1) +O(r-4) r|r|3 |r|5
= p1・p2 − 3(r ・p2)(r ・p1) +O(r-4) |r|3 |r|5
| = | Q2 ( d1d2 + d1d2 − 2d1d2 ) | + O(r-4) |
| |r|3 |
最後は,(r ・d1)/|r|=d1 を用いてます。
[1] 右図のように,−2Qの電荷が原点にあり,そこからz軸方向±d の位置に+Qの電荷がある配置を電気四重極子といいます。
r1 = r −d
r2 = r +d
|r| = r として 1/r1 を展開すると
1 = 1 r1 (r2−2rdcosθ+d2)1/2
= 1 1 r (1−(2d/r)cosθ+(d/r)2)1/2
= 1 1− 1 −(2d/r)cosθ+(d/r)2 + 3 −(2d/r)cosθ+(d/r)2 2 ・・・・・ r 2 8
= 1 1+(d/r)cosθ+ (3cos2θ−1) (d/r)2 +・・・・ r 2
同様に
1 = 1 1−(d/r)cosθ+ (3cos2θ−1) (d/r)2 +・・・・ r2 r 2
よって,
| φ = | q d2(3cos2θ−1) |
| 4πε0|r|3 |
つづく ・・・・,話題を整理してから。
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