5 カルノーサイクル
f-denshi.com  [目次へ] 更新日:03/05/29

1.カルノーサイクル [熱効率最大の理想的熱機関]

[1] カルノーサイクルとはガソリンエンジンの働きを熱力学的に見たらどうなるのかを単純化したものです。しかし,カルノーサイクルが熱力学において非常に重要な地位を占めている理由は別にあって,エントロピーを熱力学の体系に自然な形で導入(定義)するために欠かせない存在だからです。このような背景は熱力学の構築された当時からずっと変わってないでしょう。

  早速,理想気体をカルノーサイクルと呼ばれる次のような4つのステップにしたがって準正的に膨張-圧縮させたとき,何がおこるのか考えていきましょう。右の模式図も参考にして下さい。

過程 準正的変化 条件 受けとる仕事 受けとる熱量
AB 等温膨張 dU=0 W1<0 Q2>0
BC 断熱膨張 d'Q=0 W2<0 0
CD 等温圧縮 dU=0 W3>0 Q1<0
DA 断熱圧縮 d'Q=0 W4>0 0

このとき,1サイクル( ABCDA )において系は,

「高熱源からQ2の熱を受けとり,−Σ Wj の仕事を外部に行い低熱源に |Q1| の熱を渡す。」

ということを行っています。

[2] このときの熱,仕事の出入りをステップごとに熱力学第一法則 [#],理想気体の状態方程式 :

dU = d'W+d'Q   ;   PV = nRT

を用いて計算してみましょう。↑外部から受け取る仕事,熱量に対して正(プラス)をとることに注意

[準正的等温過程の仕事,熱量の計算]   
 理想気体の等温過程では dU=0 なので[#],d'W +d'Q=0 .

過程1:  −(受けた仕事 W1)=(受け取る熱量Q2
            (実際は外に−W1の仕事を行う)

−W1  PdV = nRT2 dV =nRT2log VB =Q2
V VA

過程3    (受けた仕事 W1)=−(受けた熱量Q1
            (実際は外に−Q1の熱を放出)

W3 =−  PdV =− nRT1 dV =-nRT1log VD =−Q1
V VC

[準正的断熱過程の仕事の計算]

次に,断熱過程についての仕事について計算します。

過程2 B⇒C 断熱膨張でする仕事は理想気体に対する断熱曲線[#]

PV γ=PBVBγ=PCVCγ =定数 より
W2 =−  PdV =− PBVBγ dV =−PBVBγ 1 1
Vγ (1−γ)VCγ-1 (1−γ)VBγ-1
1 (PCVC −PBVB
γ−1

↓ 状態方程式: PBVB=nRT2,PCVC=nRT1 を用いて,

W2 nR (T1−T2
γ−1

過程4 同様に,

W4 nR (T2−T1
γ−1
注意:断熱自由膨張[#]とは違って,ここでの過程では外界に仕事をしたりされたりしています。

[2S] 以上のエネルギーの出入りをまとめると,

j 過程 Wj Qj

ただし,

VB VC
VA VD

が成り立つ[#]

1 PV =一定
−nRT2log VB
VA
Q2=nRT2log VB
VA
2 PVγ=一定
nR (T1−T2
γ−1
0
3 PV =一定
−nRT1log VD
VC
Q1=nRT1log VD
VC
4 PVγ=一定
nR (T2−T1
γ−1
0

[3] ここで,熱機関の効率を次のように定義します。

η = 外部になした正味の仕事
高温熱源から受け取った熱量

カルノーサイクルに関しては,

η = −( W1+W2+W3+W4
Q2
↓  W1+W2+W3+W4+Q1+Q2 = 0  ( =dU )   [ 第一法則 [#] ] から
Q1+Q2
Q2

[4] 一方,理想気体では BCDA の断熱変化に対して TV γ-1=定数 [#] なので,

T2VB γ-1 = T1VC γ-1
T1VD γ-1 = T2VA γ-1

VB VC
VA VD

の関係があります。したがって先の熱量の計算[#]とこの関係を用いると,カルノーサイクルの熱機関としての効率はさらに,

η=
Q1+Q2
Q2
nRT1log VD +nRT2log VB
VC VA
nRT2log VB
VA
T2−T1
T2

とも書き表せます。もちろん,最後の値は1より小さな値しか取り得ません。

[5] まとめです。

カルノーサイクル
熱効率:
(1) η= Q1+Q2 T2−T1 <1
Q2 T2
および,(上の から )
(2)  Q Q2 =0
T1 T2

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以下,削除  2008/08/18