B2 ネルンストの式
f-denshi.com  [目次へ] 更新日: 04/1/4

 1.ネルンストの式

[1] 熱力学平衡にある右図のような電極上の酸化還元反応を考えます。

(n/2)H2 + nOO   nRR + nH+ ・・・・(1)
左の電極上: 水素分子=H2  プロトン=H+
右の電極上: 還元種=R      酸化種=O

ここで、それぞれの化学種の活量[#] を aH2、 aH+ 、aR、 aO とします。

[2] このとき、(1)右に進行したときの自由エネルギー変化[#]をΔGとすれば、これは両電極に発生するセル反応の起電力ΔE [#](=開路電圧とも言います。)のもとで n モルの電子がする仕事に等しい(電池が発熱したり、変形(体積変化)しないならば、[電池のエネルギー減少量ΔG]=−[外部におこなう電気エネルギー nFΔE ] )はずで、

ΔG =−nFΔE     
↑ ”−” の符号はΔE の定義 [#]から  ⇒  右図参照

一方、熱力学によると[#]、ΔGは、

ΔG = ΔG0 + RTln (aRnR・(aH+n      ( = −nFΔE )  
(aH2n/2・(aOnO

なので、

ΔE = −ΔG0/nF − RT ln (aRnR・(aH+n       ・・・・・ [*] 
nF (aH2n/2・(aOnO

が得られます[#]。さらにすべての活量が 1 のときの起電力を ΔE0 とすれば、ΔE0 = -ΔG0/nF なので、[*]は、

ΔE = ΔE0 RT ln (aRnR・(aH+n
nF (aH2n/2・(aOnO

と書けることがわかります。特に水素ガス、プロトンの活量が1( aH2=aH+=1 )の条件下では、起電力は

ΔE = ΔE0 +  RT ln (aOnO     [ ネルンスト の式 ]
nF (aRnR

となります。

[3] 原理的に、任意の酸化還元反応: R/O [ 活量:aO=aR=1 ] について、対極に活量が1の水素/プロトン( aH2=aH+=1 )の酸化還元反応を組み合わせた電池を考えることができます。その電池の起電力:ΔE = ΔE0 を R/O の標準酸化還元電位(または標準電極電位)と定義します。これまで起電力(電位差)ΔE と呼んでいたものをここで ”電位” と呼ぶことには少し注意が必要でしょう。電位と呼ぶ理由は電気化学では電位の基準として、

    「 0 V の電位として活量 1の H2/H+ の酸化還元電位を採用する。」

からです。つまり、(1)で表した電池(すべての活量は1とする)の起電力の値(= ”電位差” )はそのまま R/O の ”電位” の値と一致しているのです。そこで、ネルンスト の式でのΔE のΔを省いて単に、E、および、E0 と書くことにしましょう。

ΔE0 ⇒ E0    [ 標準電極電位 ]

[4] ネルンストの式では変数として活量が用いられていますが、実験系ではいつも活量(活量係数)が既知であるとは限りません。そのような場合、変数として化学種の濃度、CR、COを用いる方が便利です。還元種R、酸化種Oの活量を活量係数を用いて、

(aR) = γRCR、 (aO) = γOCO 

とあらわすと、

E  = E0 +  RT ln {γOCOnO    
nF {γRCRnR
   = E0 +  RT ln γOnO  +  RT ln COnO    
nF γRnR nF CRnR

と書けます。黄色の部分を = E0 とおいて式量電位 といいます。すると、電極電位は、

E = E0  +  RT ln COnO
nF CRnR

となります。

[5] さらに平衡状態(みかけの電流がゼロ=外部回路の電流=0)では、電極表面の濃度はバルク濃度[ CO*、CR* ]に等しいはずです。そのときの電位を Eeq平衡電位)とすると、すぐ上の式は、

 EeqE0’+  RT ln CO*nO 
nF CR*nR

これが平衡電位、Eeq と式量電位、 E0’ との関係です。



まとめ


(1) 標準電極電位: E0

(2) 式量電位:     E0’= E0 +  RT ln γOnO
nF γRnR

(3) 平衡電位:    Eeq = E0’+ RT ln CO*nO
nF CR*nR





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