203 フーリエ変換
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1.フーリエ変換

[1] 周期2Lを持つ関数の複素関数形式のフーリエ級数展開は,

f(x)=  cnexp(i nπx/L),           ・・・・ [*]
cn = 1 f(x)exp(−i nπx/L )dx      ・・・・ [**]
2L

となります[#]。ここで,[**] は,

cn π 1 f(x)exp(−i nπx/L )dx
 L

と書き表せることに注意して,変数変換,

  kn ≡ n(π/L)

および,関数の定義,

F(kn) ≡ 1 f(x)exp(−i knx )dx   ・・・・(1) 

を行なうと,

cn π ・F(kn)
 L
f(x)= 1 π ・F(kn)exp(i knx)  ・・・(2)
L

と書き改められます。 

[2] ここで,L → ∞ を考えると,(2)の級数和は関数:F(k)exp(i kx)の刻み幅を (π/L)とした(広義の)リーマン積分の定義[#]そのものズバリであることに気がつきます(右上図)。
(もし,わかりにくければ,F(kn)exp(i knx)=F(kn)cosknx+i F(kn)sinknx として,F(kn)cosknx,+i F(kn)sinknx とばらしてから積分を考えよ。)
すなわち,積分記号を用いて,

f(x)= 1 F(k)exp(i kx)dk  ・・・・・  (2)’ 

と書くことができます。さらに(1)は, L→∞ の極限における kn を連続な実数とみなし,k と簡単に記述すれば,

F(k)= 1 f(x)exp(-i kx )dx  ・・・・・   (1)’ 

この(1)’をフーリエ変換 F : f(x) ⇒ F(k) ,(2)’を逆フーリエ逆変換 F -1: F(k) ⇒ f(x) といいます。

以上の説明からわかるように,

フーリエ変換    F   とは,  
   ⇒ 与えられた関数f(x)から,フーリエ係数を求めること。

逆フーリエ変換 F -1 とは, 
   ⇒ 与えられたフーリエ係数から関数f(x)を求めること。

に対応しています。

以上,大雑把ですがフーリエ級数展開とフーリエ変換がどのような関係になっているか示しました。 

まとめ:

[ フーリエ変換  I ]     F(k) =F (f(x))= 1  f(x)・exp [−i kx ] dx 
[ 逆フーリエ変換 I  ]   f(x) =F -1(F(x))= 1  F(k)・exp [i kx ] dk   
正確に書けば,f(x)⇒{f(x-0)+f(x+0)}/2 なのですが,わずらわしいのでたいてい上のように書きます。
積分はコーシー主値積分です。説明はここではパス。

また,導出途中の(1)式の置き換えで積分の係数(2π)-1/2 を含めないでおき,
[ フーリエ変換  II ]     F(k) =  f(x)・exp [−i kx ] dx 
[ 逆フーリエ変換 II ]   f(x) = 1  F(k)・exp [i kx ] dk 
と定義することもあります。 さらに,x →t ,k →ω と変数を書き換えた,
F(ω) =  f(t)・exp [−i ωt ] dt 
f(t) = 1  F(ω)・exp [i ωt ] dω 
の形でもよく使われます。(記号の単なる置き換えではなく,時間,角振動数の物理的な意味を持ちますが,詳細は省略。)


もうひとつ,別の表現を書いておくと,変数を,I の場合から
x ⇒ x ,  k ⇒ k
と,置き換えて,
[フーリエ変換  III]     F(k) =  f(x)・exp [−2πi kx ] dx 
[逆フーリエ変換 III ]   f(x) =  F(k)・exp [2πi kx ] dk 
も固体物理学(ブルルアンゾーンの記述)では使われます。

以上の議論は容易に3次元に拡張でき,

3次元のフーリエ変換:

[ フーリエ変換 ]     F(k )= 1  f(r )・exp [−i kr ] dr 
3
[ 逆フーリエ変換 ]   f(r ) = 1  F(k )・exp [i kr ] dk 
3
と定義します。ただし,
r =(x,y,z),k =(kx,ky,kz); kr = xkx+yky+zkz



2.フーリエ変換の基本公式

[1] f(x),f1(x),f2(x)のフーリエ変換をそれぞれ,F(k),F1(k),F2(k)とし,a,b を定数とすれば,

元の関数f(x) 関数のフーリエ変換F(k)
(1) f(-x) F(-k)
(2) af1(x)+bf2(x) aF1(k)+bF2(k)
(3) f(x−a) e-iak・F(k)
(4) f(ax) |a|-1・F(k/a)
(5) eiak・f(x) F(k−a)
(6) xn・f(x)
i d n  F(k)
dk
(7) f(n)(x)   [n階微分] (ik)nF(k)
(8)
 f(x) dx 
1  F(k)
i k

が成り立ちます。

ここには上の公式の説明・・・・・



3.フーリエ変換の計算例 

元の関数 f(x) フーリエ変換 F(k)
(1)
1
π r
exp
x2
r2
exp −π2k2r2
(2)
1
π
r
r2+x2
exp −2π|k|r
(3)
1
2r
exp
|x|
r
1
1+4π2k2r2
(4)
1
r
exp
x
r
 ( x>0)
0    (x≦0)
1
1−2πi kr
(5)
1
r
|x|< r
2
0
|x|≧ r
2
sin(πkr)
πkr




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