111   1電子-水素様原子
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この章はコンパクトに結果だけをまとめるにとどめました。

1.シュレーディンガー方程式の解

定常状態にある水素様原子(=中心にZ価の正電荷のまわりにただ1つの電子が束縛されている系)の1電子原子(右図)のポテンシャルエネルギーは、

 V(r ) =− Z e2
4πε0 r

で与えられます。ここで、電子の位置ベクトルを r 、その大きさを、r = |r|としています。
この電子に関する球座標 [#] でのシュレーディンガー方程式は次のようになります。

h2 2 2 1 Λ+V(r) Φ(r、θ、φ)=εΦ(r、θ、φ)              ・・・・・・・ [*]  
2m ∂r2 r ∂r r2
ただし、
Λ  1 sinθ  1 2
sinθ ∂θ ∂θ sin2θ ∂φ2
(ちなみに、角運動量演算子:L2 = −h2Λ

これは、 Φ(r、θ、φ) = R(r)・Y(θ、φ) とおくと、

h2 2R(r)  + 2 ∂R(r)  + λ R(r) +V(r)R(r) = εR(r)              ・・・・・・・・・ (1)   
2m ∂r2 r ∂r r2

    ΛY(θ、φ)+λY(θ、φ) = 0                                                                  ・・・・・・・・・ (2) 

という2つの方程式に分解されます[#]。 これらの解、

R(r) = Rnl(r)                は動径関数
Y(θ、φ)= Ylm(θ、φ)  は球面調和関数
n = 1、2、3、・・・、;  l = 0、1、2、・・・、n−1;  m = -l、-l +1、・・・、0、・・・l -1、l

と呼ばれます。これらの記号を使えば、

水素様原子
固有関数: Φ(r、θ、φ) = Rnl(r)・Ylm(θ、φ)
固有値:   εn = − mZ2e4 =− e2 Z2
32π2ε02h2n2 4πε0 a0 2n2
= −
Z2  Ry
n2

ここで、

a0 = − 4πε0h2  = 0.0529 nm    [ボーア半径]
m e2
Ry = − e2  = 13.6 eV      [リュードベリ定数]
8πε02a0

[1] ヘリウムガスを充填した管内に1対の電極を置き、高電圧をかけると管内は明るく光りだします。そのスペクトル(発光強度の波長依存性)を調べると、その中に多数の鋭い輝線を見出すことができます。その波長は元素ごとに固有の値をとります。これを原子スペクトルと言います。  これはエネルギーの高い状態へ励起された電子がエネルギーの低い状態へ遷移するときにそのエネルギー差ΔEに相当するエネルギーをもつ光を放出するためであることが量子力学によって説明することができます。

[2] 量子力学によると、原子核に捉えられた電子がもつエネルギーは連続的でなく飛び飛びの決まった値しか持つことができません。このエネルギー値の一つひとつをエネルギー準位と言います。そして、光の波長λ(周波数ν)とエネルギー差ΔEとの関係はプランク定数hを用いて、

ΔE = hν =hc/λ

で与えられるので、水素原子から放出される光の波長も飛び飛びとなり、スペクトル上の輝線として観測されるのです。


2.動径関数の具体的な形 

Rn(r)2はこちら ⇒ [#]

2.角運動量

角運動量演算子:L2 = −h2Λ
L2 Ylm(θ、φ)=ll +1)h2Ylm(θ、φ)
⇒ こちら

3.電子スピン量子数

s = − 1 ;  m = ± 1    [ スピン量子数 ]           ← 2s+1 = 2
2 2

電子スピン磁気モーメント:

μs = − eh  s=−2μB s  、   ここで、ボーア磁子: μB= − eh
m 2m

4.スピン軌道相互作用

Z が小さい Z が大きい
S-L 相互作用は小さく無視できる S-L 相互作用は大きく無視できない
s と l はそれぞれ個別に保存される。 全角運動量 J (=l+s ) が保存される。