Appendix 1 各単位系-基礎方程式(メモ)
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1.電気と磁気の単位の比較(MKSA系)

電気 磁気
単位 物理量と記号 物理量と記号 単位 (EH対応) 単位 (EB対応)
C  [A s] 電荷 Q,Qe 磁荷 Qm Wb  [ Vs ],[JA-1 -
C 電束 Ψe 磁束 Ψm  [Φ] Wb  [ NmA-1 ] -
V [J/C] 電位 φe  [ψ] 磁位 φm A   -
V 電圧 V 電流 I A -
Vm-1 [N/C],[kgm/(Cs2) 電場 E 磁場 H A m-1 [N/Wb] -
Cm-2 電束密度 D 磁束密度 B Wb m-2   [T] -
Cm-2 分極 P 磁化 M [Pm] Wb m-2 M    Am-1
Cm 電気モーメント p 磁気モーメント m Wb m Am2
Fm-1 [C/(Vm)] 誘電率 ε 透磁率 μ Hm-1 [Wb/Am] -
Fm-1 電気感受率 χ,χe 磁気感受率 χm Hm-1 [Wb/Am] -
無次元 比電気感受率 χr 磁化率 χm - 無次元
F   [C/V] 静電容量 C インダクタンス L H [ Wb/A] -
m 長さ r, L 水色の[ ]は単位の別表現を併記したものです。
磁気感受率χm磁化率と呼ぶこともあります。
E-H対応での磁化
Mを磁気分極Pmと呼ぶことがあります。
つまり,EH対応,E-B対応にかかわらず,
磁化率の定義には2通りあるので注意が必要。
N [kg・m/s2] 力 F
J [N・m] 仕事 
D = ε0 EP B = μ0HM B = μ0 (  HM  )
ε =(ε0+χe)=ε0 (1+χr)  [N-1C2m-2] μ= (μ0+χm)     [NA-2] μ=μ0(1+χm)
Q = CV (Φe=CV) =L・I -
H = εv × E E = μv × H -
この表を見れば,電磁気学の単位系がなぜいつまで経っても統一されないのよくかわかります。磁気単極子(Monopole)が存在しないという実験事実に基づく科学的な態度からはEB対応が優れているのですが,EH対応の方が文句なしに電磁気学体系における電気と磁気の対称性をよく表しているのです。

(注)電束密度は電気変位ともいいます。

ε0=8.854×10-12 [Fm-1
μ0=4π ×10-7  [Hm-1] =[Wb/Am]=[Wb m-2] / [A m-1]
c0 =299,792,458   [m・s-1

磁束密度 1[T] = 104[G](cgs単位系)

基本単位の定義
長さ:1m、光が真空中をc=2.99792458×108分の1秒に進む距離
質量:1kg
時間:1s
電流:1A、無限に長い導線を真空中に1m離して平行に置き、そこに同じ電流を流したときに導線に働く力が、長さ1mあたり 2×10-7N/mのとき、この電流を1Aとする。

2.各単位系での基礎方程式

_  MKSA単位系 静電単位系
esu
電磁単位系
emu
ガウス単位系
真空誘電率 ε0
107
4πc02
ε0=1
ε0 1
c2
ε0=1
真空透磁率 μ0
107
μ0 1
c2
μ0=1 μ0=1
D = ε0EP EP ε0EP EP
D = εE
ε E
ε0
 ε E
ε0c2
ε E
ε0
B = μ0HM
μ0H +μ0M
μ0HM HM HM
B = μH
μ H
μ0c2
μ H
μ0
μ H
μ0
divD = ρ ρ ρ ρ
divB = 0 0 0 0
rot E 
B
∂t
B
∂t
B
∂t
1 B
c ∂t
rot H =
i D
∂t
i D
∂t
i D
∂t
i 1 D
 c c ∂t
クーロン
の法則
F = qQ
 4πε0 r 2
F’= q’Q’
r 2
F’=c2 q’Q’
r 2
F’= q’Q’
r 2
ローレンツ力 F qE+qv×B qE+qv×B qE+qv×B
qE qv×B
c
c: 2.99792458×1010  cgs単位系の光速度[cm・s-1]の数値
青背景=マクスウェルの4つの方程式


3.ガウス単位系

[1]公式の変換に使うちょっとズルした公式 (広島大学の山崎先生のPDFに原典が引用されている。)

MKSA ガウス単位系 MKSA ガウス単位系
q =
(i =)
 4πε0
q’=
1
μ0
q’
c
qm’=
 4πμ0
qm’= 1
ε0
qm
c
E
φ=
1 E ’=c
μ0
E
 4πε0
H
1 H c
ε0
H
 4πμ0
D
ε0
D ’=
1
c
1 D
 4πμ0
B
μ0
B ’= 1 1 B
c
 4πε0
P
 4πε0
P ’=
1
μ0
P
c
M H
 4πμ0
M H’= 1
ε0
M H
c
M B
μ0
M B’= c
 4πε0
M B
水色字の公式は私が補足 (間違ってたら <m(__)m> )

この表の使い方は,例えば,MKSAで,

rot H =i D
∂t

ならば,各物理量H,i,D をガウス単位系の蘭にある物理量に置き換えて,(i =dq/dt)

rot c
ε0
H
 4πε0
i ’+
ε0
D
∂t
rotH ’= i ’+ 1 D
 c c ∂t

とガウス単位系のマクスウェルの方程式の1つが得られます。

[2] 電磁ポテンシャル等の単位系による違いです。

MKSA単位系 ガウス単位系
ベクトルポテンシャル B =rot A B =rot A
スカラーポテンシャル
E =−gradφ− A
∂t
E =−gradφ− 1 A
c ∂t
ローレンツゲージ
  divA+ε0μ0 ∂φ  = 0
∂t
  divA 1 ∂φ  = 0
c ∂t
電磁場の方程式
2Er,t) = c022Er,t)
∂t2
2Dr,t) = c22Er,t)
∂t2
ポインティング゙
ベクトル
E ×H
c E ×H
エネルギー
密度
1 0E2+μ0H2)
2
1 (E2+B2)
磁気
モーメント
m=μI S
mH I S
c
電磁
ハミルトニアン
H= (p+eA)2 −eφ
2m
H= (p+(e/c)A)2 −eφ
2m





4. 電磁気物理量の数値換算

MKSA MKSA単位系 静電単位系
esu
電磁単位系
emu
ガウス単位系
真空誘電率 ε0
107
4πc2
1
1
c2
1
電荷 1 C
c  Fr
10
1 emu
10
c  Fr
10
電束 1 C
c
10
10
c
10
電流 1 A
c
10
1  Bi
10
c
10
電位 1 V
108
c
108
108
c
電場 1 V/m
106
c
106
106
c
電束密度 1 C/m2
c
105
105
c
105
分極 1 C/m2
c
105
1
105
c
105
静電容量 1 F
c2
109
1
109
c2
109
MKSA MKSA単位系 静電単位系
esu
電磁単位系
emu
ガウス単位系
真空透磁率 μ0
107
1
c2
1 1
磁化 1 Wb
108  
c
108
108
磁束 1 Wb
108
c
108 Mx 108 Mx
電流 1 A
c
10
 Gb
10
 Gb
10
磁場 1 Am-1
c
103
Oe
103
 Oe
103
磁束密度 1 T
104
c
104 G 104 G
磁気分極 1 T
104
c
104
104
インダクタンス 1 H
109
c2
109 109
c: 2.99792458×1010  cgs単位系の光速度[cm・s-1]の数値

表の読み方: 

1C(クーロン) は c/10 = 2.99792458×109 Fr (フランクリ) に等しい。
1G (ガウス) は 1/104=0.0001 T (テスラ) に等しい。  etc.


5.その他の単位  

物理量 単位 記号 慣用単位/MKSA有理化単位
距離 メートル m    
質量 キログラム kg    
時間 s    
電流 アンペア A    Bi
熱力学温度 ケルビン K
物質量 モル mol
光度 カンデラ cd
角度 ラジアン
立体角 ステラジアン
電荷量 クーロン C A・s
c  Fr フランクリン  
10
ニュートン N kg・m・s-2CVm-1  
電界・電場     V・m-1  
磁界・磁場     A・m-1
 Oe エルステッド
103
エネルギー ジュール J N・m=kg・m2・s-2CV  
圧力 パスカル Pa N・m-2=kg・m-1・s-2 10−5 bar バール
周波数 ヘルツ Hz s-1  
電圧 ボルト V J・C-1  
電力 ワット W A・V=J・s-1  
静電容量 ファラッド F C・V-1  
コンダクタンス ジーメンス S A・V-1  
電気抵抗 オーム Ω A-1・V  
電束  クーロン ?  本? C  
電束密度 C・m-2
磁束 ウェーバー Wb V・s  
磁束密度 テスラ T Wb・m-2  104G  ガウス
インダクタンス ヘンリー H Wb・A-1  



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