9 ルベーグ積分の定義(2) 
f-denshi.com  最終更新日:04/12/19

1.積分の定義

[1] まず、単関数の積分の定義、

定義:  X=A1∪A2∪・・・・・An として、

(1) 単関数[#]:η(x)=a1e(x、A1)+a2e(x、A2)+・・・・+ane(x、An) の X 上の積分を、

η(x)m(dx)= akm(Ak)

(2) 一般的に可測な集合 E 上での積分、

η(x)m(dx)= akm(Ak∩E)
と定義する。

1章のディリクレ関数の例で具体的に計算すれば、 X = R = Q(有理数)∪ Ri(無理数)

η(x)=1・e(x、Q)+0・(x、Ri)

となります。 そして、E=[0、1] 上の積分は、

η(x)m(dx)=1・m(Q∩[0、1])+0・m(Ri∩[0、1])
=1・m(区間[0、1]の有理数)+0・m(区間[0、1]の無理数)
=1・0+0・1
=0

[2] 単関数の積分の性質: 単関数η(x)、ψ(x) について、

(1)η(x)≧ψ(x)≧0 ⇒  η(x)m(dx)=sup ψ(x)m(dx)
(2) {αη(x)+βψ(x)}=α η(x)m(dx)+β ψ(x)m(dx)
(3) E∩F=φ ⇒ {η(x)m(dx) η(x)m(dx)+ η(x)m(dx)

など。

[3] 次にこれをもとに可測関数の積分の定義、つまり、ルベーグ積分の厳密な定義を示します。

定義:

可測関数 f(x)≧0 の可測集合 E 上の積分とは、

f(x)m(dx)=sup η(x)m(dx)=sup akm(Ak∩E)

とする。  ただし、上限をとる際に、

0≦η(x)≦f(x)

をみたす単関数η(x)すべてについて考慮する。

前章で述べておいた [#] ように、f(x)が可測関数ならば、単調増加する単関数列、 0≦η1(x)≦η2(x)≦ ・・・・ が存在して、

ηk(x)=f(x)

となります。 そこで、上極限が f(x) となるような単関数を利用して f(x) の積分を定義しようということなのです。ただし、「sup」というのが漠然としているので、「定義のための定義」であることは致し方ありません。

[4] なお、f(x) がマイナスの値をとるときは、次のように積分を定義します。

定義:

可測関数 f(x)については、
f+(x)=Max(f(x)、0 )
f-(x)=Max(-f(x)、0 )
として、可測集合 E 上の積分を定義する。
f(x)m(dx)= f+(x)m(dx)− f-(x)m(dx)

このとき、

 f+(x)m(dx)<∞  、  f-(x)m(dx)<∞

が成り立つとき、f(x)  を E 上の可積分関数と言う。

この定義は、便宜的なもので深い意味はありません。 また、基本的な性質として次のような関係が成り立ちます。

(1) |f(x)|m(dx)= f(x)m(dx)+ f-(x)m(dx)
(2) {αf(x)+βg(x)}m(dx)=α f(x)m(dx)+β g(x)m(dx)
(3) f(x)m(dx)= f(x)m(dx)+ f(x)m(dx)
   ただし、E∩F=φ

[5] ここまではあくまでも「定義のための定義」。 ルベーグ積分をもっと実行可能な姿にするためには、次章の収束定理が重要となります。

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