252 ラプラス変換のたたみ込み
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畳に込み(コンボリューション)の定理

定義: 関数 f(t)と g(t)が与えられたとき、合成積 f*g を、

f*g(t)= f(t−u)g(u)du

と定義すると、それぞれの関数のラプラス変換を、

L[f(t)]=F(s)、 L[g(t)]=G(s)

とすれば、

L[f*g(t)]=F(s)G(s)
が成り立つ。

証明:

L[f*g(t)]= e-st・f*g(t)dt
             = e-st f(t−u)g(u)dudt

ここで、積分の順番を入れ換えれば、

             = e-st・f(t−u)g(u)dt du

さらに、t-u = w と置換すれば、( 変数 t → w に変換 )

             = e-s(w+u)・f(w)g(u)dw du
             = e-sw・f(w)dw e-su・g(u)du
=F(s)・G(s)




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たたみ込み積分の簡単な説明   

「たたみ込み」の考え方を,「離散的なたたみ込み」の例で説明します。

各時期に原発から放出された放射能が,


であることが分かっているとします。横軸は年代です。そして,放射能の半減期が h であるとする,すなわち,下図,


で放射能の減衰特性(応答関数)が与えられるとします。

このとき,t 年に存在する放射能は,下図の赤い囲みの中の放射能量を加算すればよいのですが,


その放射能P(t)の計算式は,

P(t)=E(t−9h)G(9h)E(t−8h)G(8h)E(t−5h)G(5h)
        +E(t−4h)G(4h)E(t−3h)G(3h)E(t−h)G(h)
  = E(t−nh)G(nh)

と表記することができます。( n>10のとき,E(tーnh)=0 )

この離散的な関係式の連続的な極限を考えたものが,たたみ込み積分であって,

 P (t) =   E ( t−τ)G(τ)dτ 

と書き表すことができます。G(τ)は各イベント(事象)が起きてからの減衰を表すので,τ<0 ではゼロの値をとる関数です。また,積分区間が-∞<τ<∞ となっていますが,これはフーリエ変換も利用できるように,形式的に積分範囲を広げただけでそれ以上の意味はありません。