101  微分方程式とは
f-denshi.com  更新日:  04/02/18

1.微分方程式の基本用語 

[1] x の未知関数 y とその導関数 y',y'',・・・,y(n) の関係式,( きちんと書くならば, y(n) ⇒ y(n)(x) です。)

F(y,y',y'',・・・,y(n) )=0

常微分方程式と言います。その中でも, y,y',y'',・・・,y(n) の1次結合で,

y(n)+an-1(x)y(n-1)+・・・+a1(x)y'+a0(x)y = f(x) ・・・(1)

と表せるものを線形微分方程式と言います。ここで,ak(x); k = 0,1,・・・,n-1を係数関数,f(x)を入力関数と呼びます。
ak(x)は一般に x の関数ですが,定数であっても構いません。

演算子 L

 L dn  +an-1(x) d(n-1)  + ・・・ + a1(x) d  + a0(x)
dxn dx(n-1) dx

を定義して,(1)

L y(x)= f(x)                              ・・・・・・・ (2)

と書くこともあります[#]。また,微分方程式に含まれる y の導関数の中でもっとも高次の微分階数 n をその微分方程式の階数といいます。    

  線形微分方程式ではない微分方程式を非線形微分方程式と言います。また,2つ以上の変数を含む未知関数 y(x,t,・・・) とその偏導関数の関係式からなる偏微分方程式というのもありますが,これらは後回しです。ここでは名前(定義)だけ覚えておきましょう。(これは第3部で扱います。)

[2] さて,もっとも簡単な2階常微分方程式,

y''=1               ・・・・・・・・・・・・・・ [*]

の解は,この式を続けて積分することで,

y'= x  + c1
y = x2/2 + c1x + c2         ・・・・・・・・・・・・ [**]

と2つの積分定数(=任意定数) c1,c2 を含んだ解として得られます。一般に「 n 階の微分方程式の解は n 個の任意定数を含んでおり」,[**]のように表された解を一般解と言います。一方,任意定数に特定の値を代入した,

y = x2/2  (c1=c2=0 を代入した場合)  ・・・・・・・・・・ [***]

のような解を特殊解,または特解と言います。

    なお,微分方程式によっては,一般解の任意定数にどんな値を入れても表すことのできない解が存在することもあります。そのような解は特異解と呼ばれます ⇒ [#]。

[3] 2階微分方程式[*]を考えるときに,条件として x=a で,

y'(a)= y1;  y(a)= y2

と定めれば,この条件を満たすような c1,c2 の値は唯一つ定まることがわかります。一般にn階微分方程式においてy とn-1階までの各導関数の値を指定するn個の条件式,

y(n-1)=yn-1, y(n-2)=yn-2,・・・,y =y0

初期条件と言い,この条件のもとで,任意定数を含まない解を求めることを初期値問題と言います。

[4] 一方,例えば,y(x)を区間[0,1]で定義された関数とし,その境界 x=0 と x=1 における y の値を定めても微分方程式の解を唯一つ決めることもできます。今の例では,

y(0)=1
y(1)=1

と条件をつければ,解としては,y = x2/2 −(3/2)x + 1  と唯一定まります。

 一般に未知関数 y の定義域の境界における y,またはそのいくつかの導関数のとるべき値を n個 (またはn個以下)指定することがあります。このような条件式は境界値条件と呼ばれ,このような条件下で微分方程式を解くことを境界値問題と言います。


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