方程式:X17=1の”代数的な”解法 | ||
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[1] 代数方程式:
f(x)= x17=1
の解を問われたとき,もし複素関数論の知識があれば,ほとんどの人は虚数をi として,
cos(2πk/17)+i sin(2πk/17), ただしk=0,1,2,・・・・・,16
と答えるでしょう。もちろんこれで正解ですが,この方程式を代数的に解けと言われたならば,最初から答えを知っていない人は七転八倒するのではないでしょうか。(ガウスは19歳の時にこれを解き,正17角形が定規とコンパスで作図可能なことを示しました。)ここで代数的とは,もとの式から四則演算と根号(n乗根)を取る操作だけで解を導くということです。もちろん答えには,sin とか,cos とかいう記号は使用不可です。
[2] その解答を示す前に,この方程式の解(たち)が持つ高度な対称性について述べておきましょう。この方程式が自明な解:x=1をもつ(因数(x−1)を持つ)ことを利用して因数分解すると,
f(x)=(x−1)・g(x)
=(x−1)(x16+x15+x14+x13+x12+x11+x10+x9+x8+x7+x6+x5+x4+x3+x2+x+1)
つまり,問題は上式で定義される g(x)=0 を解くことに還元されます。その解のひとつを w とすると,
G* = { w,w2,w3,w4,w5,w6,w7,w8,w9,w10,w11,w12,w13,w14,w15,w16 }
も f(x)= 1 の解です。なぜなら任意の整数mに対して,f(wm)=(wm)17=(w17)m =1m=1 だからです。w17 = 1 と合わせた17個の元の集合は巡回群を作っています。位数が素数(=17)の巡回群の元は1以外のどの元も原始根となる:定理[#]ことから,16個のwkに重複はなく,wk,k=1,2,・・・・・,17 が解のすべてとなります。
[3] このように解が書き並べられることがわかると,解と解との関係もいろいろ見えてきます。たとえば,
ww16=1,w2w15=1,w3w14=1,w4w13=1,w5w12=1,w6w11=1,w7w10=1,w8w9=1
などです。このような対称性を利用して,次数を下げて行き,2次方程式の組み合わせに帰着できるというところがこの方程式が代数的に解けるポイントとなっています。( 16=24 はマジックナンバ−! )
では,原始根の p−1個のp 乗根からなる集合を分割して行きます。
ステップ1 x ⇒ x2 に対して不変な系列を拾い出すと,G*は2分割できて, y1 = x +x2+x4+x8+x16+x15+x13+x9 (x,x2,(x2)2,・・・と繰り返しかけていったとき) とおくと,次の関係が成り立っています。 y1 + y2 = -1 これは,y1,y2 はχに関する2次方程式: χ2−(y1+y2)χ+ y1y2=χ2+χ−4=0 の根なので,
・・・・・ (計算2)) |
ステップ2 χ2−(z1+z2)χ+ z1z2=χ2−y1χ−1=0 の解で,
複合については,適切に選択する必要があります。 |
ステップ3
これより,v1,v2,・・・・・・はそれぞれ次の2次方程式: の根となっています。したがって,
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ステップ4
ちなみにw1は,(複合を選択しながら[#],ステップ1まで遡ると,)
もちろん,これを17乗すれば,その過程ですべての解が得られ, 検算も同時にできるのですが, ・・・・ (^^ゞ |