Appendix5  3次,4次方程式の解の公式 
f-denshi.com  最終更新日: 04/11/8

1.3次方程式の解法

[1] 3次方程式のデルフェルロ,タルタリア,カルダノの解法を紹介します。 有理数を係数とする3次方程式:

0 =x3+r2x2+r1xr0       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  (0)

は,x = (X−r2/3)と置き換えることで,2次の項のない3次方程式

0 =X3+pX+q             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  (1)

に変換できます。したがって,この方程式(1)の解の公式を導けば十分です。

[2] 解法のポイントは次の2つの恒等式にあります。

[A] X3−y3−z3−3Xyz = X3−3yzX−y3−z3
[B] X3−y3−z3−3Xyz = (X−y−z)(X−ωy−ω2z)(X−ω2y−ωz)

ここで,ωは1の原始3乗根,すなわち,

 ωexp [2πi /3]=
−1+i
 3
2

で,ω3 = 1, ω2+ω+1 = 0 を満たします。

[3] まず,[A] ですが,これは(1)と比較すれば,

p = −3yz            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  (2)
q = −y3−z3         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  (3)

が成り立つときに方程式(1)の右辺に等しいことが見て取れます。

[4] 一方,[B]

(X−y−z)(X−ωy−ω2z)(X−ω2y−ωz) = 0

とおいて,X の方程式とみなせば,その根が,

y+z
ωy+ω2z
ω2y+ωz
               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    (4)

の3つであることを示しています。

[5] つまり,未知数 y,z の連立方程式(2),(3)の解がわかれば,それを(4)に代入して,3次方程式(1)の一般解が得られるわけです。この連立方程式解は簡単に次のように求まります。(2)を両辺3乗して 27 で割れば,

p3/27 = −y3z3   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  (5)

(5)と(3)から, y3 と z3 とは次の T に関する2次方程式の解であることがわかります。

T2−(y3+z3)T+y3z3 = T2+qT−(p3/27) = 0  ・・・  (6)

したがって,2次方程式の解の公式から(6)の2つの根を求め,立方根をとれば,

y =
−q+
 D
1/3
2
z =
−q−
 D
1/3
2
ただし,判別式: D = q2+4(p3/27)

が得られます。この y,z を(4)に代入したものが,3次方程式(1)の3つの解です。

[蛇足]
[B]の式はよく見かける公式
X3+y3+z3−3Xyz = ( X+y+z )( X2+y2+z2−Xy−yz−zX )
             = ( X+y+z )( X+ωy+ω2z )( X+ω2y+ωz )
にて,y → - y, z → - z と置き換えたものです。

2. 4次方程式の解法

[1] 3次方程式の解法と同様に有理数を係数とする4次方程式:

0 = x4r3x3+r2x2+r1xr0       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  (0)

も x = (X−r3/4)と置き換えることで,3次の項のない4次方程式:

0 = X4+pX2+qX+r             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  (1)

に変換できます。したがって,一般の4次方程式の解として,この方程式(1)の解の公式を導けば十分です。

[2] ポイントは次の2つの恒等式にあります。(↓ 3次方程式の場合とよく比べてください)

[C] X4+y4+z4+w4−2(X2y2+X2z2+X2w2+y2z2+y2w2+z2w2)−8Xyzw 
     = X4−2(y2+z2+w2)X2−8yzwX+[y4+z4+w4−2(y2z2+y2w2+z2w2)]
     = X4−2(y2+z2+w2)X2−8yzwX+[(y2+z2+w22−4(y2z2+y2w2+z2w2)]
( X の方程式とみなせるようにXだけわざと大文字にしています。)    
[D] X4+y4+z4+w4−2(X2y2+X2z2+X2w2+y2z2+y2w2+z2w2)−8Xyzw 
     = (X−y−z−w)(X−y+z+w)(X+y−z+w)(X+y+z−w)

[3] まず,[C] を X の方程式とみて,

p = −2(y2+z2+w2)           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  (2)
q = −8yzw                  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  (3)
r = (y2+z2+w22−4(y2z2+y2w2+z2w2)        ・・・・・・・・・  (4)

とおけば,4次方程式(1)の右辺に等しくなります。

[4] 次に[D] は

0 = (X−y−z−w)(X−y+z+w)(X+y−z+w)(X+y+z−w)

を X の方程式とみなせば,その解は

y+z+w
+y−z−w
−y+z−w
−y−z+w
                        ・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)

で与えられることを示しています。つまり,未知数 y,z,w の連立方程式(2),(3),(4)を解いて,その解を(5)に代入して得られる 4つの値が 4次方程式の解なのです。

[5] さて,連立方程式(2),(3),(4)を

y2+z2+w2           = −p/2
y2z2w2                 = (q/8)2
y2z2+y2w2+z2w2 = [(y2+z2+w22−r ]/4 = p2/16−r/4

と変形すれば,y2,z2,w2 は次の3次方程式の3つの解になっていることがわかります。

(T−y2)(T−z2)(T−w2) = T3−(y2+z2+w2)T2+(y2z2+y2w2+z2w2)T− y2z2w2
                 = T3+(p/2)T2+(p2/16−r/4)T−(q/8)2 
                                  = 0

先ほど示したように3次方程式の解は公式によって必ず求まりますから,それらを t1,t2,t3 としましょう。すると,

y = ±
 t1
, z = ±
 t2
, w = ±
t3

と表せるはずです。 y,z,w としてどのように複合 +,− を選択するかは4次方程式に解の一つ (y+z+w) を直接代入して解となっているか確かめてみることで決定できます。ひとつ解が定まれば,(5)より残りの3つも求まります。


[蛇足]

[D] X4+y4+z4+w4−2(X2y2+X2z2+X2w2+y2z2+y2w2+z2w2)−8Xyzw 
     =(X+y+z+w)(X+y−z−w)(X−y+z−w)(X−y−z+w)



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