Appendix1  位数 p-1 の元 (原始元) の存在
f-denshi.com  最終更新日: 21/07/30
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有限体には必ず原始元(原始根)が存在することの証明を示します。

定理

p* に原始根が少なくとも1つ存在すること ⇔ p* に位数 p-1 の元が少なくとも1つは存在する。

 [証明の方針]
    Fp* から1以外の元を取り a とし、aの位数 [#] を s とする。
 (ケース1)
      s=p-1 ⇒ 証明終わり

 (ケース2)
     s<p-1 ⇒ 「p* に位数が s より大きい元が存在する」・・・・・・・・・・・[*]
              を示す。

     [*] が成り立てば、
       ⇒ その元を s1(>s)とする、もし s1<p-1 なら、位数が s1 より大きい元が存在するはず、
          その元を s2 とする、もし s2<p-1 なら、 位数が s2 より大きい元が存在する

         以上、 sn=p−1 となるまで繰り返す → 定理は証明される。


[*] の証明

(1) a、a2、a3、・・・、as-1、as(=1) は互いに異なる。

(2) a、a2、a3、・・・、as-1、as(=1)  は s 乗すると1になる。

(3) a、a2、a3、・・・、as-1、as(=1) は xs−1=0 の根のすべてである。

(4) a、a2、a3、・・・、as-1、as(=1) 以外の元 b が存在して,その位数 t と s の最小公倍数 を k とすれば、k > s である。

なぜならば,まず,a、a2、a3、・・・、as-1 以外の元 b が存在する。( s<p-1 なので )

(A) b の位数 t>s → [*]が成り立つ、証明終わり

(B) b の位数 t≦sの場合

s と t との最大公約数を d とし、

s=s’d, t=t’d 

とすると,

ケース1 

t が s の約数 (t’=1)のとき ⇒ bs=bs’d=(bt)s’=1 
                                        ⇒ b は xs−1=0 の根である。 (矛盾)

ケース2

t が s の約数でない (t’≠1) であるとき ⇒ t と s の最小公倍数は,
k=s’t’d =t’s > s 
を満たす。以上で,(4) が示された。

(5) すると,位数 k (>s) の元 c が存在する。

(6) 具体的には c=aS1bt1の位数がkであることを示す。

ただし、S1とt1を次のように定義される。 

s (=s’d ) の約数のうちで t’と素で最大のものを S0 として、

s=S0S1 

と書くと、S1は整数でS0とS1とは互いに素 (=1以外に約数を持たない。 )

(7) また、s’は S0 の約数 ( s’≦S0 )  
       S1は d の約数  ( d≧S1

⇒ t’S1は t (  =t’d ) の約数  
⇒ t=(t’S1t1 なる整数t1が存在する。 (S0 はt’S1と互いに素でもある。)

(8) ここで,c の k 乗を計算してみる.と,

    ck=(aS1bt1k=aS1kbt1kaS1t’sbt1t’s=(asS1t’bt1t’S0S1

     =(asS1t’(btS0=(1)S1t’(1)S0=1 

       → c の位数は k 以下である。

(9) 次に、cm=1 ならば、m≧k を示そう。

1=(cmS0=(aS1bt1mS0=aS0S1mbt1mS0=(aSmbt1mS0=bt1mS0

よって、t(=t’S1t1)はt1mS0の約数、(かつ、S0 はt’S1と互いに素) → t’S1はmの約数

1=(cmS1t’=(aS1bt1mS1t’=aS1S1mt’bt1mS1t’=aS1S1mt’(btm=aS1S1mt’

よって、s(=S0S1)はS1S1mt’の約数、(かつ、S0 はS1とt’互いに素) → S0はmの約数

したがって、(t’S1)S0=k は m の約数 → m≧k

(終)

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