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Appendix1 用語集1 | |
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[1] 微分積分の舞台になるのは1変数の場合は実数の集合 (set) です。しかし、変数が2つ以上の n変数関数の場合、それは n次元ユークリッド空間 ( Euclidean space )と呼ばれるものになります。その定義です:
実数の集合 R のn 個の直積: R×R×・・・×R ≡ Rn を n 次元ユークリッド空間という。
ここで、集合の直積 ( direct product )とは、3つの集合 A 、B、C の場合で説明すれば、集合 A から要素 a を、集合 B からは要素 b を、集合 C からは要素 c というように一つづつ取り出して、この要素を並べて、
( a,b,c ) ← これを直積集合の点 といいます。
と書き、新しい集合の要素とみなします。そして、そのような要素全体からなる新しい集合を、集合 A、B、C の直積、または直積集合、直積空間 ( product space )ともいいます。
A×B×C ={(a,b,c)|a∈A、b∈B、c∈C}
と簡潔に書くこともできます。 A=B=C=R (実数の集合) の場合の直積集合が3次元ユークリッド空間で、その要素を点と呼びます。
直積集合という理由は、例えば、A、B、C の元の個数がそれぞれ、2、3、4 であるならば、それらの直積の元(a,b,c)の個数は、2×3×4 で得られるからです。 たぶん。
[2] また、n次元ユークリッド空間の2つの点 P(p1,p2,・・・,pn)、Q(q1,q2,・・・,qn) の距離を、
d(P、Q)= (p1−q1)2+(p2、q2)2+・・・+(pn−qn)2
と定義します。(このように距離を定義したRnをn次元ユークリッド空間としてもよい。) 距離が定義されると、これを用いて、”近い”、”近づく”といったことを厳密に記述するときに重要なユークリッド空間 Rn の部分集合、「点 P のε-近傍 (ε-neighborhood) 」が次のように定義されます。
Nε(P,Rn) = { Q|d(Q,P )<ε}
厳密には,Nε(P,Rn) と書くべきだが,文脈から自明なときは,上のように Rn は省略する。
つまり、点 Pとの距離がεより小さな点 Q全体の集合のことです。これはふつう「任意の正数ε」という接頭辞と一緒に用いられます。なお、「任意の」とはいっても普通は小さい数を考えます。
[3] さらに、
無限集合 M の相異なる点からなる無限点列 { p1,p2,・・,pn,・・ } ≡{Pn} が、 「 n → ∞ において、ある点 P に収束する (いくらでも近づく) 」とき、または、ちょっと堅くいうと、
「任意の正数εにたいしてある k が存在して、n > k ならば必ず、pn ∈ Nε(P) 」のとき、点 P を M の集積点 ( accumulation point ) といいます。
(無限点列は単に点列とも言います。)
例えば、M を2次元ユークリッド空間とするとき、点列: pn=(1/n,1/n); n = 1、2、3・・・・ をとると、n → ∞ で、pn → O = ( 0,0 ) です。つまり、原点 O は2次元ユークリッド空間の集積点(の一つ)です。
これらの用語(ε近傍&集積点)を用いると、
実数 R の連続性: 「 任意のNε(P) ∈ R は必ず集積点を持つ。 」
と簡単に述べることができます。
[4] 集合 M の集積点が必ず M に属しているとは限りません。例えば、開区間 M = { x|0<x<1 } とすると、pn = 1/n なる点列は pn → 0 に収束するので 0 は M の集積点の一つです。しかし、0 はM の元ではありません。このよう状況に陥らない集合をスマートに考えるため、次の用語が使われます。
任意のユークリド空間の部分集合 S に対して、S と S のすべての集積点の和集合を S の閉包( closure ) という
より進んだ定義 ⇒ 距離空間 [#] を参照のこと。
[5] おおざっぱにいうと、1次元の閉区間、開区間を2次元(2変数)以上の場合にも拡張した概念を、
開区間 (1次元)→ 領域 (2次元以上)
閉区間 (1次元)→ 閉領域 ( closed domain ) (2次元以上)
といいます。2次元以上の集合に一般化した定義を与えるには、開集合 O、閉集合 F ( closed set ) の概念を必要とします。それは n次元ユークリッド空間: Rn の部分集合 M が与えられたとき、
集合 | 定義 | 基本的性質 |
閉集合 Fk (k=1,2,・・・) |
Fk の中の任意の点列 { p1、p2、・・・・ } について、 それが点 p に収束するならば、p は必ず Fk に属する。 |
(1)F1∪F2 (有限個) (2)F1∩F2∩・・・ (3)空集合 (4)Rn はどれも閉集合 |
開集合 Ok (k=1,2,・・・) |
Ok に属する任意の点 p について, 十分小さな正数εを選べば、そのε-近傍 Nε(p) が Ok に属する。 |
(1)O1∪O2∪・・・ (2)O1∩O2 (有限個) (3)空集合 (4)Rn はどれも開集合 |
Rn の開集合を O ,閉集合を F とするとき,
O の補集合 Rn −O ⇒ 閉集合
F の補集合 Rn −F ⇒ 開集合
となります。
しかし,閉集合と開集合は相反する概念ではありません。
ユークリッド空間自身は閉集合であり,開集合でもある。(空集合も同様。)
一方,半開区間 ( および、その高次元版 ) はどちらでもありません。また,
[ 0、∞ ) は 閉集合
(0、∞ ) は 開集合
です!
「距離」 を必要としない開集合・閉集合の概念は位相空間のところで学ぶことになります。 ⇒ [#]
[6] これに付随した重要な概念
境界点: P | どんな正数εについても、P の ε-近傍が M に属する点と属さない点の両方を含む。 (境界点全体の集合を境界という。) |
コンパクトな集合: M | M の任意の無限個の点からなる部分集合 N は必ず M の中に集積点をもつ |
コンパクトな集合については補足説明が必要でしょう。コンパクト (compact) とはユークリッド空間の有界閉集合を抽象化した概念です。[ユークリッド空間の有界な閉集合はコンパクトである]ということはできます。
(注) [ 0、∞ ) は閉集合ですがコンパクトではありません。
これらを用いると、
定義
|
[7] コーシー列
[ ] 単調に増減しない数列の収束性を評価するために役立つもうひとつのテクニックは、コーシー列 ( Cauchy sequence ) を利用する方法です。また、数列の収束性をいうためには極限値 (や有界かどうか示すための上限、下限) があらかじめわかっていないと議論できないことが多いのですが、この問題点を回避し、具体的な極限値 a を求めず、数列の収束性を証明できることも「コーシー列」を用いた収束判定法のメリットです。つまり、証明より先に直感か何かで、xn の極限 ”a” や有界を示すために上・下限を見つけてくる必要がないのです。
[ コーシー列 ] どんな正数εをとっても、ある番号Nが存在して、 m、n>N ⇒ |am−an|<ε が成り立つとき、数列:{ a1、a2・・・ }をコーシー列という。このとき、 「数列{ a1、a2・・・ }がある a に収束する」 ⇔ 同値 「数列 { a1、a2・・・ }がコーシー列である」 |
さきの例で言うと、
cn=(-1)n 1 n
より、m、n>N とすると、
|cm−cn|< 1 + 1 < 2 m n N
なので、N>(2/ε)とすれば、|cm−cn|<ε なので、cn はコーシー列、つまり、収束することがわかります。 このやり方では、cn の収束は示せても、cn の極限値は求まりません。逆の見方をすると極限値を具体的に求める必要がないときにコーシー列は活躍するのです。
より進んだレベルでは、距離空間の完備性の定義にコーシー列を使います。
h → 0 とか、 と記述します。
注意が必要なのは 0 にいくらでも近い数と考えますが決して0 ではないのです。
さらに、近づく方法は、+の方向からと、−の方向から考えられます。これを区別するときは、
h → + 0 とか、
h → - 0 とか、
連続関数(連続写像)の一般化
連続関数(連続写像)の一般化 (1) n 次元ユークリッド空間 X から m 次元ユークリッド空間 Y への写像 f : X → Y が,X の任意の点 p に近づく点列: p1,p2,・・・,pn,・・・ に対応する点列: f(p1),f(p2),・・・,f(pn),・・・ が f(p) に収束するとき,「写像f(x)は p で連続である。」という。 さらに進んで,(位相空間では,) (2) 写像,f : X → Y が連続写像であるとは, ( I )「 Y の任意の開集合 O について,f-1(O) が X における開集合となることである。」 |
詳細は距離空間,位相空間 (ルベーグ積分)のところで。 ⇒ [#]
定理: 連続関数によって,コンパクトな集合はコンパクトな集合へ移る。 |