304   ミラー指数
f-denshi.com  更新日:05/02/17
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結晶学で等価な原子や原子配列面を参照するために必要な用語のまとめです。

1.方位と結晶面

[ HKL ] 方向 ( hkl ) 面

[1] ベクトルa b c によって定められる単位格子をもつ結晶を考えます。このとき,結晶内での位置 r0 にある原子と等価な位置にある原子の位置は格子並進演算子と呼ばれるベクトルT  を用いて,

       T  = r0 + Ha + Kb + Lc

で表せます。ここで,H,K,L は互いに素な整数の組で,

[ H K L ]

のようにカギカッコで示します。右図には代表的な方位の例を示しています。[-1 0 0] の様に負の数字を持つ方向は数字の上にバーをつけ,

1 00

と表す方が一般的です。(ただし,WEB上でこの表記法を多用するのはちとしんどいので,ここではマイナスで表します。)また,対称性をもつ格子では同じ方向を異なった指数で表せることに注意しましょう。例えば,単純立方晶においては,

[100],[010],[001],[-100],[0-10],[00-1]

の6方向は同じ方向を示しています。この場合,一番左の[100]でこの方向を代表させるのがふつうです。

[2] 一方,結晶内の原子が規則的に並ぶ(分布する)面も単位ベクトルに関連する整数,h, k, l を用いて表わすことができます。上図に示すような単位格子ベクトル abc を持つ結晶系で,

a軸を|a|/h = a/h,
b軸を|b|/k = b/k,
c軸を|c|/l  = c/l

で交差する面を,

( h k l )

と表し,ミラー指数と呼ばれます。ここで,ある座標軸方向と平行で交点を持たない場合は,その軸と無限遠(∞)で交差するとし,その指数は 0 と約束します。例えば,各座標軸と 1,1,∞ で交差する面はその逆数:( 1/1,1/1,1/∞ ) = ( 110 ) と書かれます。

理屈より具体的な例を見たほうが理解しやすいと思われますので,いくつか重要な面を次に描いておきます。




単純立方格子

 単純立方系において,代表的な面を示します。右下の(220)面は右上の(110)面に平行な面ですが,方向の場合と違い,公約数で割った数字を用いずに使用します。実際に,単純立方結晶では(220)面には原子が存在しませんが,(110)面には存在します。

(100) (110) (111)

もう一つ注意すべき点は(1/2,1/2,1/2)面も存在する。この面はX,Y,Z軸とそれぞれ,2a, 2b, 2cの点で交差する。

体心立方格子

BCC構造とその代表的な面

面心立方

正方形:FCC(100)

(100) (110) (111)






六方晶

六方晶においては慣用的に下図のような a1a2a3, c の四つの軸を用いて方向面を表し,指数を( hklm )と書きます。この方法では,Z軸方向の指数は[0001]となります。この4軸を用いると,a1a2a3方向を現す指数 hkl の間には,

h + k = -l

の関係があります。

(-2110) (1-101) (10-10) (0001)



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