Appdix 2  2次元正規分布  
f-denshi.com  最終更新日:11/08/16  (仮)

1.2次元正規分布

[1] 2次元確率変数 X X  が次の同時確率密度関数にしたがうとき,2次元正規分布という。
Y
 f(x,y)= 1 exp -1 x−μ1 2 −2ρ x−μ1 y−μ2 y−μ2 2
2πσ1σ2 1-ρ2
2(1-ρ2) σ12 σ1 σ2 σ22
   = 1 exp -1 t(xμ)σ-1(xμ)
2π|σ|1/2 2

ただし,1-ρ2>0とし,ベクトルxμ,および,共分散行列σとその逆行列σ-1は,

 x x  [実現値],   μ μ1  =E(X)
y μ2
 σ σ12 ρσ1σ2 ,σ-1
1
σ12σ22(1-ρ2)
σ22 -ρσ1σ2
ρσ1σ2 σ22 -ρσ1σ2 σ12

また,txは行列(ベクトル)xの転置行列(ベクトル)である。

ここで,f(x,y)の指数の肩の部分を(=正定数)とおくと,一般的な楕円の方程式となっている。

このように定めておけば,共分散,相関係数は[#]

C(X,Y)=ρσ1σ2
Corr(X,Y)=ρ

となることは容易に確かめられる(演習)。

[2] この定義は条件付確率分布とする積で,f(x,y)=f1(x)f2(y|x) と表したとき,

f1(x)= 1  exp -1 x−μ1 2
 σ1
2 σ1
f2(y|x)= 1  exp -1 y−μ2−ρ(σ21)(x−μ1) 2
2π(1-ρ2)  σ2
2
(1-ρ2)  σ2

すなわち,

f1(x)=N(μ112)
f2(y|x)=N(μ2+ρ(σ21)(x−μ1),(1-ρ222)

と2つの正規分布の積となるように定めているともみなせる。

[3] 特に,2つの確率変数に相関がないρ=0のときは,

f2(y|x)=N(μ222)=f2(y)

であるから,f(x,y)=f1(x)f2(y)=N(μ112)N(μ222) に帰着する。

下には,σ1=σ2=1である2次元標準正規分布のρ=-0.9,-0.5,0,0.5,0.9における概観を示した。

[4] 以上は,n次元へも自然に拡張することができて[#],

n次元確率変数が確率密度関数,

 f(x)== 1 exp 1  t(xμ)σ-1(xμ)
(2π)n/2|σ|1/2 2

に従うとき,n次元正規分布と定義する。ここで,

X X1 ;  x x1  ; μ=E(X)= μ1
X2 x2 μ2
Xn xn μn
σ=E((Xμ) t(Xμ))= C(X1,X1) C(X1,X2) ・・ C(X1,Xn) ; C(Xi,Yj)=ρσiσj
C(X2,X1) C(X2,X2) ・・
・・ ・・ ・・
C(Xn,X1) ・・ ・・ C(Xn,Xn)

このとき,確率変数XNn(μσ)に従うともいう。

以上,やや天下り的であるが,非常に美しい対称性があるので納得してもらって次へ進む。

2.2次元正規分布の積率母関数

[1] 1次元正規分布の積率母関数,

M(t)=E[exp(tX)]  =exp 1 σ2t2+μt
2

に対して,2次元積率母関数を

M(s,t)=E[exp(sX+tY)]

とする。これを条件付確率として計算を進めると[#]

=EX[EY[exp(sX+tY)|X]]    ←EX[  ]とは確率変数Xについて平均を取るという意味を強調している。
=EX[exp(sX)EY[exp(tY)|X]]

     ↓  N(μ2+ρ(σ21)(x−μ1),(1-ρ222)の母関数を用いて[#]

= EX [ exp(sX)exp[2+ρ σ2 (X−μ1))t+ 1 (1−ρ222t2] ]
σ1 2
= exp [ μ1s+μ2t+ 1 (1−ρ222t2] EX [ exp[(s+ρ σ2 t) (X−μ1) ] ]
2 σ1
 ↓  X-μ1〜N(0,σ12) のとき,EX(k(X-μ1))=exp[k2σ12/2] なので,(k=s+ρσ2t/σ1)  
= exp [ μ1s+μ2t+ 1 (1−ρ222t2] exp [ 1 (s+tρσ21)2σ12 ]
2 2
= exp [ μ1s+μ2t+ 1 σ12s2+ρσ1σ2st+ 1 σ22t2]
2 2



特に,ρ=0ならば,

= exp [ μ1s+ 1 σ12s2+μ2t+ 1 σ22t2 ]
2 2
=M(s)・M(t)

となる。

[目次]




C(X,Y)=ρσ1σ2 の証明