14 多重積分と累次積分
f-denshi.com    [目次] 更新日:07/06/06 (仮)
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1.二重積分

[1] D を x-y平面上の面積が確定する有界な領域とし,

(1) z=f(x,y) を Dで連続な2変数関数
(2) f(x,y) は有界,
(3) D を含む大きめの長方形:
             S={(x,y)|a≦x≦b,c≦y≦d }

を考えます。 (一般性を失わず,a,c>0 としてもいいでしょう。)

[2] よこ [a,b],たて[c,d]をそれぞれつぎのような n個,m個の区間分割すると,

[a=x0,x1),[x1,x2),・・・,[xk-1,xk),・・・,[xn-1,b=xn]
[c=y0,y1),[y1,y2),・・・,[ys-1,ys),・・・,[ym-1,d=ym]
長方形も m×n 個のタイルに分割されますその一つのタイルを
Jks={(x,y)|xk-1≦x≦xk, ys-1≦y≦ys

とすれば,このタイルの面積は,

|Jks|=(xk−xk-1)(ys−ys-1)

で求まります。

[3] このとき,Max{(xk−xk-1),(ys−ys-1)}=h として次の極限,

Σ f(xks,yks)|Jks
k,s

が存在すれば,これを,

I = f(x,y)dxdy

と書き,f(x,y)の D上の重積分(2重積分)といいます。ただし,Σ は D∩JksO なるものすべてにわたって和をとることとし,

(xks,yks)

はタイル Jks 内の任意の点とします。 (長方形の右上の点の座標である必要はないということ。)

2.累次積分

[1] 積分範囲を2つの関数:

y=φ1(x),y=φ2(x) と x=a,x=b, 

とに囲まれた右の領域D とします。

2重積分のタイルごとの総和

I= Σ f(xks,yks)|Jks
s,k

をとる順番を,x成分がある区間(xk-1−xk]を含む短冊(緑の部分)を先に計算すると,その部分は,

f(xks,yks)|Jks
   =f(xks',yks')(ys'-1−ys')+・・・+f(xks,yks)(ys-1−ys)+・・・+ f(xks'',yks'')(ys''-1−ys'')(xk-1−xk)
( ここで,xks'=・・・=xks・・・=xks'' = xk )

ここで,・・・の部分は y を変数とする積分の定義に等しく,ys'-1=φ1(xk),ys''=φ2(xk) に注意して,

・・・≡A (xk)= φ2(xk) f(xk,y)dy
φ1(xk)

[2] 各 xk(k=1,2・・・n) に対応する n 個の短冊を合計すると,全積分 I に等しく,

I = A(xk)(xk−xk-1)

ところが,これは,x についてのA(x)の積分,

A(x) dx

に等しい。結局,

2重積分から累次積分への変換
I = f(x,y)dxdy = φ2(x) f(x,y)dy dx
φ1(x)

を示しています。

このように,f(x,y) を最初に変数 y の関数とみなして積分を行い,引き続きその結果を x の関数とみなして順に積分を置こうなう積分方法を累次積分と言います。このとき,積分の順序は交換可能です。

 もう一度,今,計算したことを幾何学的な例を用いて言い直すと,右図のxy平面内の領域Dとその領域で定義される滑らかな曲面 z=f(x,y) とで囲まれる部分の体積を求める方法として,

(1) 赤い縦長の角柱の寄せ集める (2重積分)
(2) 黄緑色の薄片の寄せ集める (累次積分)

の2とおりどちら方法で計算しても構わないということです。そして,重積分の定義だけでは,実際の問題にあたって何をどうしていいのかわからないことが普通なので,重積分といいながら累次積分を計算することになるのです。

3.基本的な性質

    { a・f(x,y)+b・g(x,y) }dxdy
     =a・ f(x,y)dxdy+b・ g(x,y) }dxdy

つづく,・・・

次元の拡張,3次元の重積分の例,密度分布ρ(x,y,z)より質量Mを求める。


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